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講演メモ : 2014年11月30日 MTDDC : イマドキのCMSトレンドからWeb運用を再考する – 藤田 拓さん

2014年11月29日に開催された MTDDC Meetup TOKYO 2014 から、藤田 拓さん(言問株式会社)の講演メモです。

テーマは「イマドキのCMSトレンドからWeb運用を再考する」です。

スライド: イマドキのCMSトレンドからWeb運用を再考する

メモは箇条書きで書いております。


今回のお話

  1. Webリニューアル案件の悩みポイント2つをピックアップ
  2. 日本・海外CMSマーケット・トレンドの状況
  3. エンタープライズなCMSの変化
  4. Web運用のこれから

1. Webリニューアル案件の悩みポイント2つをピックアップ

1-1. 画面が小さいデバイスでのデザインをどうすればいいか?

スマートフォンサイトのアクセスは増えている。

ある調査によると、スマホサイトへの満足度は全体的に低い。

PCサイトはみんな頑張るでしょう。

スマホになると、ナビゲーションがあったり、自分から探しにいかなければならない。

スマホは画面が狭い。

PCだと訴求したいものを見えるようにできるが、モバイルはそれができない。

ウェアラブルとか、もっと画面が小さいものだとどうするか?

どうやってコンテンツを出していくべきか?

1-2. CMSを入れてもWebサイトが活性化していない?

フルCMS案件。サイトのほぼすべてをCMSで構築する

最高に更新しやすいCMS実装をしても、実際には更新されないケースも…。

実際にはリニューアル後はお知らせとか更新情報とかばかり、とか。

2. 日本・海外CMSマーケット・トレンドの状況

CMSベンダーシェア。ITR調査資料。

以前は静的CMSが強かった。MT強い(強かった)。

最近だと、海外CMSはすごく伸びている。静的CMSは減っている。

海外のCMS評価だと……

伸びているのはAdobe(旧Day Software)、Sidecore。

最近になって来ているのは、Drupal。

CMSにデジタルマーケティング対応機能が装備されているかどうかがポイント。

3. エンタープライズなCMSの変化

エンプラなCMSが変化。

昔のエンプラCMSの機能

  • 編集機能
  • リリース管理
  • 校正・承認
  • ユーザー管理
  • 開発・運用

こういうのはエンプラには欠かせない機能だが、正直つまんない機能(オーディエンスにとって面白味もなにもない機能)。コンテンツともあまり関係ない。

デジタルマーケティングの機能が付いたのが、近年のエンプラCMS機能の変化。

  • 編集機能
  • リリース管理
  • 校正・承認
  • ユーザー管理
  • 開発・運用
  • (近年のプラス)デジタルマーケティング機能

編集機能、校正・承認機能も変化。

編集機能

よくあるタイプであるカスタムフィールド型。テンプレートとがっつり統合しているケースが多く、仕様変更に弱い。

ブロック型。実はconcrete5みたいなブロック型の編集機能は、最近のエンプラCMSでは当たり前。

柔軟性ではブロック型の方がカスタムフィールド型より有利。

商用CMSの例 : オラクル (画面映像でデモ)

PHPベースのDrupalでも同様のことができる。

校正・承認

ライトなCMSが目を背けがちなところはプレビュー。

  • マルチデバイスでのプレビュー(将来的には勿論ウェアラブルも)
  • 多言語でのプレビュー
  • 会員/非会員の各機能権限でのプレビュー

……これらの要件に言い訳をしていませんか?

海外製のやつのプレビューはすごく良く出来ているものもある。

シミュレーション機能。concrete5もシミュレーション機能がある。

素朴な疑問。色々なデバイス・環境があるのに、プレビューできないのはどういうこと?

MovableTypeでもできればスマートフォンプレビューをネイティブで実装してほしい。

デジタルマーケティング

A/Bテストについて。

同じURLでA/Bテストを行なう機能。

Googleとかは違うURLでやれといわれるが、同一URLでABテストをできる機能が存在する。

ユーザートラッキング機能。

Cokkie渡して回遊しているユーザーをずっと追いかける。ユーザーを顕在化!「こういう事をやっていた人が会員登録をやる。」というのがわかる。

Marketoというツール。様々なアクションを集計。IPアドレスから国や年、企業名、業種などを特定。

パーソナライゼーション/セグメンテーションの機能

(例えば)ある地域に対してどういったコンテンツを見せるか。

曜日、地域、どのページを何回見たか?その人の住んでいる場所の気候。

ありとあらゆる属性・情報を取得し、それを元に見せるコンテンツを出し分けることができる。

さらに、情報を見る人のシミュレーションをペルソナ設定ですることもできる。

実際そんなことをやれるのかな?(回せるの?使えるの?)という疑問もあるが、ブロック機能とプレビューがしっかりしていないと、こういうことはできない。

ブロック機能とマルチチャンネル・条件プレビューができないと、デジタルマーケティング機能の活用は厳しい。

ポイントはZero IT。

高速なPDCA。Zero ITじゃないと高速に回せない。

CMSに解析ツールがなかったとしても、Google Analytics(以下GA)以外でも解析ツールがたくさんある。

GA、実は最近海外では「微妙だよね〜」と言われていたりもする。

例えばHubspotはインバウンドマーケティングで解析とかができる。

CMSのマーケティング面では、HubspotがWordPressよりも優秀だよねという声がある。

要はMAツール、解析ツールがCMS機能を付けているということ。

4. Web運用のこれから

いままで(〜2011年くらいまで)のCMS。……実装者が実装しやすいことを重視。あんまりユーザーのことを考えていない。

イマドキのCMSの視点。ユーザーに対してどういうサイトを展開していくのがいいかを重視。色んなユーザーに個別に訴求できるように。

GAのようにバルク(ひと固まり)で理解するのではなく、セグメント(細かい情報の断片とか?)として理解(個別も理解可能)。

2つの悩みポイントについての藤田さんの私見

悩みポイント1。画面が小さいデバイスでのデザインをどうすればいいか?

ウェブサイトもその人の状況を把握し、狭いエリアになるべく最適な形で情報を出す、という風になってくるのかなと思う。

悩みポイント2。CMSを入れてもWebサイトが活性化していない?

何かの施策を打ちたいというときに、どう変えればいいのかというアクションと、PDCを回すという所をスムーズにするためには、ブロック型CMSが重要になってくるのではないか。

かつ、ブロック単位にどんな事の結果になっているかというのがわかるとより良い。

もうひとつ

もうひとつ。運用後に活用しやすいデザインとスタイルガイドが重要になってくる。

例 : スターバックス(米国)のスタイルガイド

スタイルガイドがあれば、キャンペーン等を立ち上げる時もラク。

なぜかスターバックスのco.jpは米国などとは違う……

ルールに則ってやれば、車輪の再発明をする必要もなく、運用もしやすい。

そういう設計をすれば、今後CMS案件は幸せになると思う。

おわりに

ウェブサイトからデジタルチャンネルへ。効率的から効果的へ。

CMSも安いからとかではなく、運用のしやすさも考えて。

ただコンテンツを出すだけではなく、マーケティング・コミュニケーションをしていこう。

クリックよりも、どう行動しているか。点よりも線や面を考えて。

「使いやすい」よりも「ユーザビリティ」 = Use の Ability ……どういう風に使う可能性を増やしていくか。

ドカーンとローンチしたらそれで終わりじゃなくて、常に継続的なやりとりを心がけて。

実はECサイトや個人サイトって意外とこういうことをやっていたりするけれど、企業サイトもやっていったほうがいい。

(プレゼンここまで。太字の強調は筆者によるものです。)


感想

イベントから約1ヵ月ほど経過してしまいました……ですが、今後のCMS事情を把握する上でなかなかいいお話だったと思いました。

藤田さんのお話では、ブロック型のCMS(≒ 代表的なもののひとつとしてconcrete5)を推しているという点が強く印象に残りました。

ビジネスやマーケティングに即した内容のお話が多かったので、個人的にはついていくのがやや難しい点も多かったのですが、ただコンテンツを上げればいいだけではない、運用していくことの重要さや、それに対応していくためにCMSに求められていく機能は何かという点が、短時間で把握できるお話だったと思いました。

あと、このイベントに関しては、プロジェクターなどの画面まわりやスピーカーの通信といった音声面など、設備系トラブルが相次いで、ちょっと時間が短めだったり話の後半が駆け足気味になってしまったのがちょっぴり残念でした。


参考リンク

このブログのMTDDCに関する記事

聴講メモ : 2014年12月13日 #cssnite_shift8 : 基調講演 : Webのスーパーヒーローになる方法 – 長谷川恭久さん (追記あり)

2014年12月13日に開催された CSS Nite LP38「Webデザイン行く年来る年(Shift8)」 から、長谷川恭久さん( @yhassy )の講演メモです。

テーマは、「基調講演:Webのスーパーヒーローになる方法」です。

メモは箇条書きで書いております。

(※ もしかすると後日加筆、修正する場合もしれません。予めご了承ください。)


はじめに

(最初に参加者席に座っていた長谷川さんの知り合いの方を3名立たせて、その方々の経歴を紹介しました。3名とも職種が少しづつ違う方々でした。メモはその後から……)

今日ここに来ている方でデザイナーをされている方、立ってください。

エンジニアやプログラマなど、その他の職種をされている方も立ってください。

(会場参加者ほぼ全員立つ)

今日ここに来ている方、みなさん「デザイナー」です。プログラマとか関係ありません。ここで今立っている方々は、世界を変えている人達。世界中で繋がっているWebのために何かもっといいものを作りたいと思って今も何かを作っているのだと思う。

週末にセミナーに来るなんて、他の業種から考えれば、ある意味異常なこと。それでももっと良くしたいという気持ちがあるから来るのだと思う。

Webは今年で25周年になった。

Webによって技術や考え方、暮らしがだいぶ変わった。一人一人が情報公開。知識を共有。

Webを一人でも多くの人達に使ってもらおうと、毎日仕事をしているのが私達の役割。先ほど立った皆様「デザイナー」はものすごい力を持った人達だと思ってる。

人々を幸せにするのも、ストレスを与えてしまうのも、考え方を変えてしまうのも、「デザイナー」の力があってこそ。このすごい力を、私達は責任を持って使わなければならない。クライアントやチームメンバーに対して、正しくデザインを使うように広めてかなければいけない。

スーパーヒーロー = 「デザイナー」

責任を持って力を使わなければならない。

スパイダーマン『大いなる力には、大いなる責任が伴う』

スーパーヒーロー達から学べる3つの事。実践している事。


スーパーヒーロー達から学べる3つの事

  1. 巨大な敵に立ち向かう。
  2. 継続する。あきらめない。
  3. 自分以外の事を考える。

1. 巨大な敵に立ち向かう – 皆さんに実践してほしい事

自分より大きな的に戦いを挑む。

「デザイナー」の敵は?

クライアント?丸投げする上司?

違う。真の的は私自身。

「どうせ無理」

行動を起こさないための「どうせ無理」

デザインのポテンシャルを最大限に生かさないまま世に出してしまう。

「どうせ無理」が私達「デザイナー」が戦わなくてはならないもの。

私は面倒臭いデザイナー。依頼をされてもすぐには作らない。クライアントに対してまずはみんなで一緒に考えましょうと言う。

理想のデザインプロセスができるように努力している。

その結果、クライアントに体するいろいろな方法論、解決案などが分かった。

私がこう喋る事で「貴方(長谷川さん)は有名だからうまくやっていける。私は「どうせ無理」だと思う。」……という思考が働くかもしれない。でもそこでスーパーヒーローの役割の2つ目の点。

2. まずは続ける。あきらめない。

スーパーヒーローは期間限定では働かない。巨大な敵が出てきて負けた。それであきらめるわけにはいけない。

続ける事で、信頼や信用を得る事ができる。

悩む。苦しむ。時には一緒になって目的のために進む。

スキルや実績ではない。続けていることが尊敬に繋がる。

CSS Niteは10周年。

10周年はモチベーションだけでどうにかなるものではない。

苦情、批判、悪口もある。

続けているから、信頼、信用があるイベント。

大阪で制作会社をやっているある方(※ 名前が出ましたが、筆者の判断で念のため伏せます)は、平日はブログを毎日書いている。

平日に毎日書いても誰もアクセスに来ない、時間の無駄……「どうせ無理」と思うかもしれない。

でも続けた結果、大きめの案件が取れるようになった。読んでくれている人が増えている。

私はさすがに毎日ではないけど、10年間プログは続いている。Podcastもやっている。

最近はブログ記事の画像はSketch.appでやっている。

ブログを書く限られた時間で新しいスキルを得ようとやっている。本を読むよりいい。

私は失敗ばっかり。うまくいかないこともある。

敗戦はある。それでもあきらめないでつづけているからこそ、今でも自分がやるべき事をやっているのではないかと思う。

みなさんも何かやってみてください。続けてみてください。

3. 自分以外の事を考える

では、続けるためのモチベーションは?

一回成功しても「次は無理かも」と思ってしまう。それでも続けていくには?

スーパーヒーローは「自分をかっこ良く見せたい」とか「モテたい」とか考えていない。

家族の事や、コミュニティ、地域、社会、世界の事を考えて戦っている。今の自分には何ができるのかを考えて、敵と戦っている。「デザイナー」も同様。

自分がこうしたい、ああしたいということを考えるよりも、同業者達からチヤホヤされたいと考えるよりも、ここのサイトに来る人たちの事を考えているはず。サイトを運営する企業にとってベストな事とはなにかを考えるはず。

ここでも新たな敵が出てくる。

「どうせ無理」という思考はクライアントも持っている。プログラマ、マーケ、営業なども持っている。

色々な理由をつけて、あきらめる。するとデザインが不本意な形でサイトが世に表れる。

ソーシャルメディアを見ていると、よくないサイトの批判、批評をよく見る。

そういうサイトは必ずしもデザイナー、制作者だけのせいではない。ワークフローの問題が多い。

「どうせ無理」と考える人が責任を転嫁している。

誰が責任を持つべきなのか。私は「デザイナー」だと思う。

「私には関係ありません」「ディレクターの◯◯さんがなんとかしてくれる」「御社だからこそできる。弊社ではできないよ。」他人に期待する。

「どうせ無理」という(内面的な)敵と戦ってほしい。

でも一人でやるのは辛いと思う。

一人では無理と思う場面はある。仲間と一緒に戦うこともあるだろう(スーパーヒーローも「デザイナー」も)。

一人が無理だと思ったら、上司やチームメンバーなどに協力を求める。断られても、何度でも求める。分かってもらえるまで色んな手を使う。

おわりに

CSS Niteなどのような外部の集まりはいい場所だと思う。今日立ってくれた皆さんは、ふだんの職種を超えてみんなスーパーパワーを持っている。

先ほどは大まかなくくりでみんな「デザイナー」といったけれど、実際の皆さんは一人ひとり、仕事上での立場・役割が違う。

その違いをみんなで共有する事で、「こういう視点があるんだ」という気づきもあるはず。

それが明日への糧になるだろうと思う。

今日学んだ事は、ビルの小さなセミナーの空間から外に持っていかないと、何も変わらない。ただメモを取っただけでは、皆さんのやりたいデザインは実現できない。

仕事場に、クライアントに、広めてってください。

スーパーヒーローは皆様一人一人です。Webを良くしていきましょう。

(プレゼンテーションここまで)


感想

今回の長谷川さんのShiftでの講演は非常にメッセージ性、啓発性の強い、力のある内容だったと思います。過去のCSS Nite Shiftシリーズのみならず、長谷川さんの過去のこれまでの講演でもかなり突出した「熱さ」だったと思います。

今回長谷川さんが仰った「デザイナー」というのは、普段の業務におけるデザイナー(Webデザイナー)とは異なり、クライアント担当者をも含め、Webサイトづくりに携わるすべての職種の人を指し示していると解釈しました(なので上記のメモではあえて鍵括弧「」をつけました)。

そういう意味では、この日の2週間前に行なったMTDDCでの「好みや多数決で決めない、デザインとの正しい付き合い方とほぼ似通った内容だったとも思います。

ただし今回は、MTDDCの時よりもはるかに参加者のメンタリティに踏み込んだ力強さがありました。

皆さんはすごいパワーを持っている……これは立場や職種を超えて、誇りを持って「私はこれがいいと思う」という意見をみんなで出し合えば、あらゆる問題を突破できるということなのだろうというメッセージだと思いました。

自分の「肩書き」にとらわれすぎて、自らの可能性を狭めてしまうのが、最も勿体無いことなのだろうと思います。

参考リンク

追記 (2014-12-19): 長谷川さんによるエントリーが出てきました。